まず押さえておきたいのが、土地と建物では扱いが違うという点です。崩れた後の負担は、この違いから生まれます。
建物が壊れて存在しなくなった場合は、滅失の登記をすれば権利関係が終わります。一方、土地は地球の表面を区画したものと考えられており、形が変わっても区画そのものは残ります。
そのため、斜面が崩れて平らな部分がほとんど残らなかった場合でも、登記上の土地は存在し続けます。所有者としての立場も変わりません。
崩れた後も、所有者には次の負担が残ります。土地が使えなくなっても、この点は変わりません。
使えない土地に費用だけがかかり続ける状態は、負動産と呼ばれます。考え方は崖地・傾斜地・危険擁壁の土地を手放す方法を解説した記事でもご紹介しています。
崩落が起きた直後は、被害の拡大を防ぐことが最優先です。遠方に住んでいる場合でも、次の3つは早めに進めてください。
まず市区町村の防災担当課へ連絡します。道路や隣地に土砂が出ている場合は、通行止めや応急措置の判断が必要になるためです。現地にはロープやカラーコーンで立入を制限します。
崩れた範囲と周囲の状況を、複数の角度から撮影します。保険の請求や、自治体の被害認定を受ける際の資料になります。雨の前後で変化がある場合は、その都度記録してください。
土砂が隣の敷地へ流れ込んでいないかを確認します。擁壁など人が造った構造物が原因の場合は、土地の工作物として所有者の責任が問われます。
自然の斜面であっても、危険を知りながら放置していた場合は管理不足を問われることがあります。まずはハザードマップポータルサイトで、土砂災害警戒区域の指定状況もあわせてご確認ください。
「使えない土地に税金がかかり続けるのはおかしい」というご相談をよくいただきます。扱いを整理しておきます。
被害が起きても、課税が自動で止まるわけではありません。多くの自治体には災害による減免制度がありますが、所有者からの申請が前提です。
減額か全額免除かは、被害の程度に応じて判断されます。申請の期限が決められている自治体もあるため、被災後は早めに確認してください。
土砂災害特別警戒区域に指定された土地は、建築や開発に制限がかかります。この制限を理由に、評価額が減額補正される場合があります。
ただし評価額が下がっても、税額がゼロになるわけではありません。管理費用と合わせた負担は続きます。
民有地の復旧は、原則として所有者の負担です。行政が代わりに直してくれるわけではありません。
崩れた斜面の復旧には、規模によって数百万円から1,000万円を超える費用がかかることがあります。工事車両が入れない場所では、さらに高くなる傾向があります。
| 工事の種類 | 費用の目安 |
|---|---|
| 崩れた土砂の撤去・仮復旧 | 数十万円〜 |
| 斜面の安定化(法面工・アンカー工) | 300万円〜 |
| 擁壁の新設・造り替え | 500万円〜1,000万円超 |
※一般的な相場の目安です。斜面の高さ・長さ・前面道路の状況により大きく変わります。必ず複数社の現地調査を受けたうえでご判断ください。
人家に危険が及ぶ急傾斜地では、自治体が対策工事を行う制度があります。ただし、保全される人家の戸数など条件が定められており、民有地のすべてが対象になるわけではありません。
擁壁の改修に補助金を設けている自治体もあります。金額や条件は市区町村ごとに異なるため、土地のある役所の建築指導課へご確認ください。
復旧費用が現実的でない場合、土地を手放すことも選択肢になります。ただし、崩れた土地は通常の方法では引き受け先が見つかりにくいのが実情です。
崩落した斜面は買い手がつきにくく、不動産会社に相談しても取り扱いを断られることがあります。自治体への寄付も、災害リスクのある土地は受け付けられない例が多くあります。
相続土地国庫帰属制度でも、崖がある土地や管理に過分な費用がかかる土地は、申請が通りにくい条件に含まれています。制度があっても使えない場合がある点にご注意ください。
復旧をせず、今の状態のまま引き取る専門業者に依頼する方法があります。合同会社新翔では、空き地・空き家の流動化を目的に、不動産の有償所有権引取りサービスを行っています。
引き取りの対象となる物件は事業内容のページでご案内しています。遠方にお住まいの場合も、現地へ行かずにご相談を始められます。
土地の形が変わっても、所有権と登記は原則として残ります。建物のような滅失登記の仕組みは土地にはなく、管理義務も続きます。
自動では免除されません。多くの自治体に災害による減免制度がありますが、申請が必要です。被害の程度により減額または免除の割合が決まります。
擁壁など人が造った構造物が原因の場合は、土地の工作物として所有者の責任が問われます。自然の斜面でも、危険を知りながら放置していた場合は管理不足を問われることがあります。
火災保険の多くは建物を対象としており、土地そのものの復旧は対象外とされるのが一般的です。契約内容により異なるため、保険会社へご確認ください。
土砂崩れで土地の形が変わっても、所有権と登記は残ります。固定資産税の納税義務も、管理義務も続くことが所有者の負担になります。
崩れた直後は、自治体への連絡・状況の記録・隣地への影響確認の3つを進めてください。そのうえで、減免制度の申請と復旧費用の見積を並行して検討します。
復旧費用が現実的でない場合は、現況のまま手放す方法もあります。どこに相談すればよいか分からないときは、解決できる土地の課題をご確認のうえ、お気軽にご相談ください。